【2023年】初心者でもわかる確定申告のやり方とポイントを一挙公開
独立してはじめての確定申告を行う際は、何から手をつけていいのか分からないものですよね。今回は初めて確定申告を行う方に、わかりやすくそのやり方をご説明します。
目次
1.確定申告の準備はいつから始めるべき?
令和5年(2023年分)の確定申告の受付は、2024年2月16日〜2024年3月15日までです。期日を過ぎると追徴課税が課されますので、締め切りまでに申告と納税を済ませられるよう前もって準備を進めておくことが肝心です。
それでは、確定申告の準備はいつ頃から始めるべきでしょうか?事業によりますが、2月上旬には本格的に確定申告の準備を始めるべきでしょう。
確定申告は1年間の収入額と経費を洗い出し、書き出し、計算し、年間利益を算出する作業が必要です。
しかも、年間収入と経費をまとめて提出するのではなく、
「1月○日に、△会社から、○円の入金があった。」
「2月○日に、△文具店で、○円のボールペンを買った。」
このように一つ一つのお金の流れを明確にしなければなりません。
そのため確定申告は一朝一夕で終わるものではなく、数日、もしくは数週間に及びます。
もし税理士に確定申告を依頼する場合、確定申告締切日である3月15日に駆け込んでも締め切りまでに作成することは困難です。専門家でも時間と労力を要する作業なのですから、一般の方はもっと時間がかかるものだと考えてください。
自分で確定申告を行う場合は、遅くても2月上旬から準備に取り掛かりましょう。
2.申告方法ごとの提出書類
確定申告は「確定申告書」1枚を提出するのではなく、記載の事実を裏付ける書類とともに提出します。提出書類は申告方法によって少し異なりますので、間違えないようにご自分の提出書類をご確認ください。
■白色申告に必要なもの
・確定申告書B
・各種控除関係の書類
・収支内訳書
■青色申告に必要なもの
・確定申告書B
・各種控除関係の書類
・青色申告決算書
「収支内訳書」「青色申告決算書」は、2020年度の事業の収入と経費を計算し、その利益額を算出するための書類です。帳簿に記帳した金額をこの書類に転記していきます。
ご相談などのお問い合わせはこちらまで
(受付時間:月曜日~金曜日 9:00~17:15)
※申し訳ありませんが、皆様の置かれている状況を正確に把握するため、お電話やメールだけでの税務経営相談はお受けしておりません。
3.確定申告の作業の前に準備するもの
確定申告は収入と経費を計算しなければならないので、計算するための資料が必要です。なお申告方式に関わらず、自分で事業を行なっている方には記帳と帳簿保管の義務があります。
確定申告で最も時間がかかるのが記帳です。
可能であれば月1回記帳を行う日を作り、確定申告に備えておくことを推奨致します。
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3-1.確定申告の前に準備すべき資料
■収入がわかる書類
納品書や請求書
入金額が分かる通帳など
■経費がわかる書類
レシートや領収書(原本)
クレジットカードの利用明細など
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3-2.確定申告の前の作業
確定申告書に記入していく前に、「記帳」を行います。記帳とは、1年間のお金の出入りを書き記したもので、国税庁より指定された「法定帳簿」の形式で作成します。記帳を行うことおよび帳簿の保管は義務ですので、「確定申告ができれば記帳しなくても良い」というわけではありません。
また帳簿の作成には時間がかかります。
経理関係をしたことがない人は1週間程度は見込んでおきましょう。
■白色申告と青色申告簡易簿記選択の場合(10万円控除の申告方法)
白色申告の場合の法定帳簿は「単式簿記」と呼ばれるもので、収入金額と必要経費が記帳されていれば、書式は自由です。
具体的な内容としては
・取引の日付
・取引の内容
・金額
の3点を記入します。
例えば1月1日に取引先から入金があった場合の記載は「1月1日 △会社より売上入金 ○○円」となります。
ついでに各取引に「勘定科目」を振っておくと、収支内訳書への転機が楽に済ませられます。
■青色申告複式簿記選択の場合(65万控除の申告方法)
青色申告の複式簿記選択場合の法定帳簿は、その名の通り「複式簿記」です。
「借方」と「貸方」が存在し、それぞれお金の出入りの「原因と結果」を表します。
具体的に記載する内容は
・日付
・借方勘定科目
・借方金額
・貸方勘定科目
・貸方金額
・摘要
の6点です。
例えば取引先から銀行口座に入金があった場合は
「1月1日 銀行名 金額 売上 金額 △会社」
と記載します。
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3-3.勘定科目や借方貸方とは?
■勘定科目とは
勘定科目とは、帳簿を誰が見ても理解できるように分かりやすく記録するための分類項目のことです。
簿記でのみ必要な知識ですので、経理経験がない方は最初はとっつきにくいかもしれませんが、慣れるととても便利です。
勘定科目には
・売上
・売掛金
・現金
・接待交際費
・外注費
などがあります。
全てを使用しなければならないわけではなく、ご自身の事業に必要な科目をピックアップして利用してください。
■借方・貸方とは?
「借方」「貸方」と表記すると、借金のイメージを連想しがちですが、全く関係性はありません。簿記特有の用語ですので、言葉自体を深く考える必要はありません。借方・貸方は主に複式簿記で使用される考え方で、取引を原因と結果の両面から捉えるために生まれたものです。
例えば商品を販売した場合、「商品が手元からなくなる(販売する)」と「現金が手にはいる」の2つが同時に起こります。これをいっぺんに表す方法として「借方」「貸方」が生まれました。
4.申告方法ごとの提出書類
確定申告で提出する書類は、事前に選択した申告方式により少し異なります。
「開業届を提出して、あとは何もしていない」
「青色申告承認申請書を記載した記憶がない」方は、白色申告です。
青色申告承認申請書を提出した方は青色申告です。
■白色申告に必要なもの
・確定申告書B
・各種控除関係の書類
・収入内訳書
■青色申告に必要なもの
・確定申告書B
・各種控除関係の書類
・青色申告決算書
収入内訳書及び青色申告決算書は、事業の収入と経費を計算し、最終的な年間利益を算出するものです。
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5.確定申告書の提出方法について
提出方法は大きく3つあります。
ご自身に便利な方法を選択してください。
スマホで確定申告書を作成できるようになりましたが、現段階では個人事業主の事業所得に対応していません。
今後の拡充に期待しましょう。
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5-1.e-Taxによる送信
マイナンバーカードとICカードリーダーを使用して、パソコン上で確定申告書を提出する方法です。
ICカードリーダーは有料ですが、あると申告が手元で済ませられるので非常に便利です。
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5-2.郵便または信書便で送る
確定申告書は送付も可能です。
申告書は「信書」に該当するため、税務署に送付する場合は「郵便物」または「信書便物」としてください。
ヤマト便やペリカン便のような「荷物扱い」で送付することはできません。
ご注意ください。
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5-3.税務署の窓口や時間外収受箱に提出する
作成した確定申告書を税務署に持参し提出します。
税務署の時間内であれば窓口に提出して「控え」に収受印をもらっておくと安心です。
夜中や早朝など税務署の時間外には、時間外収受箱に投函し提出できます。
6.確定申告書の作成
では具体的に確定申告書の作成方法をご説明します。
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6-1.帳簿をつける
単式簿記もしくは複式簿記で帳簿をつけてください。
一昔前までは全て紙に手書きでしたが、現在では便利な会計ソフトも多数出回っていますし、
税理士事務所に代行してもらうこともできます。
経理に苦手意識を持っている方や記帳に不安のある方は、迷わずに代行をお選び下さい。
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6-2.収入内訳書または青色申告決算書に転記
つけた帳簿を元にして、勘定科目ごとの合計金額を計算します。
その合計金額を転記して、事業の年間利益を確定させます。
なお確定申告書は税務署に備え付けてある確定申告用紙を利用するほか
国税庁HPの確定申告書等作成コーナーで作成し印刷することも可能です。
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6-3.源泉徴収票や控除証明金額を転記
収支内訳書または青色申告決算書の金額を確定申告書Bに転記します。
国税庁HPの確定申告書等作成コーナーでは、自動的に数字が反映されます。
確定申告書の給与所得の欄に源泉徴収票の数字をそのまま転記し
控除証明書をお持ちの場合は該当の欄に記入します。
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6-4.納税額を算出
記入し終わったら、納税額を計算します。
国税庁HPの確定申告書等作成コーナーでは、自動的に納税額が算出され記載されます。
これが2021年度の利益に基づく、ご自身の納税額です。
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(受付時間:月曜日~金曜日 9:00~17:15)
※申し訳ありませんが、皆様の置かれている状況を正確に把握するため、お電話やメールだけでの税務経営相談はお受けしておりません。
7.確定申告書を提出する
出来上がった確定申告書とそのほかの書類を一つにまとめて税務署に提出します。
8.納税する
確定申告書を提出したら、最後に忘れずに納税しましょう。
納税方法は大きく4つに分かれます。
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8-1.振替納税
指定した銀行口座から引き落とされる納税方法です。
所得税の引き落とし日は4月中旬。
それまでに納税金額を入金しておきましょう。
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8-2.クレジットカード納付
国税クレジットカードお支払いサイト」経由することで、所得税をクレジットカードで支払うことができます。
決済手数料が数百円程度かかりますが、カードのポイントを貯めている方には嬉しい納付方法ですね。
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8-3.コンビニ納付
税務署の窓口に確定申告書を提出した際に、「バーコード納付書」を発行してもらいます。
「バーコード納付書」を用いてお近くのコンビニで納付する方法です。
ただし、コンビニでは30万円を超える決済ができません。
所得税が30万円を超える方は利用できませんのでご注意ください。
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8-4.窓口納付
最も確実で手間がかからない方法が窓口納付です。
確定申告書を提出した際に、現金で支払います。
税務署の窓口はもちろん、郵便局や銀行、信用金庫の窓口でも支払えます。
窓口で支払うと納税証明書をその場でもらうことができるので、
納税証明書が早く必要な場合は窓口で支払いましょう。
銀行で支払いを済ませた場合は納税証明書は発行されませんが、
銀行発行の領収書を税務署に持参すればすぐに作成してくれます。
9.確定申告のやり方でお悩みなら税理士にお任せしよう
ほとんどの事業者の方は、最も節税効果が高く複式簿記が必要な、青色申告複式簿記方式を選択しておられるかと思います。
複式簿記は単式簿記よりも理解しにくく、記帳に時間がかかる人もおられることでしょう。
厄介な記帳に時間を割くよりも、その時間を事業に充て利益を増大させたいですよね。
確定申告に時間を割きたくない方や、やり方に不安を感じる方は、信頼できる税理士に任せてしまうことも考えてみましょう。
代行手数料よりも、より多くの利益を生み出せるかもしれません。
10.まとめ
初めての確定申告でも一人で申告できる流れについてご紹介しました。
確定申告は記帳を行う準備段階が最も大変です。
経理経験が浅い方や苦手意識を持った方には、とても辛い作業になります。
その場合は税理士に記帳代行を依頼し、ストレスなく事業に取り組みましょう。
畑会計事務所では、このような確定申告に関する疑問等に対し、サポートを行っております。
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