2023年の確定申告はいつまで?提出期限までにやっておくべきこと
確定申告って、何をどうすればいいの?
独立して初めての確定申告。
経費になりそうなレシートは取っておいているけど、これをどうすればいいのか分からない。
「青色・白色」ってよく聞く言葉だけど、これが一体何なのか…
特に独立して初年度は、何から手をつけていいのか分かりませんよね。
そこで今回は、確定申告とは一体何なのかや確定申告の流れ、事前準備などについてまとめました。
目次
1.そもそも確定申告とは?何のためにするのか?
確定申告とは、あなたが支払うべき「所得税」の額を決定するために、あなたが1年間に稼いだ所得を国に報告するものです。
これまで会社員だった人は毎年「年末調整」をしていたはずです。
年末調整とは、あなたに代わって会社が簡易的な確定申告を行なっているものです。
年末調整が済んだ後に、何やらお金が戻ってきて「ラッキー」と思ったことはありませんか?
実はあのお金は、「これまで払い過ぎていた所得税」なのです。
年末調整を行なった末、「所得税を取り過ぎていたから返金しますね」というお金なのです。
会社員は、毎月の給料から少しずつ「源泉所得税」という名前で所得税を支払っています。
ですから年末調整が終わると「払い過ぎていた所得税」が返金されます。
一方で個人事業主の場合は、基本的に毎月の収入から所得税を支払うことはありません。
業種や契約によっては源泉所得税を差し引かれるケースもありますが、それほど頻繁に引かれることもないでしょう。
確定申告をすることで、あなたの1年間の利益を確定し、その額に応じた所得税を支払います。
もちろん所定よりも所得税を多く払っていれば、確定申告をすることで返金されます。
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1-1.確定申告が必要な人は決まっている?
確定申告が必要な人は以下のとおりです。
・2カ所以上から給与をもらっており、副業が20万円を超える人
本業の会社で日中働いて、休みの日は飲食店でアルバイト。このようにダブルワークをしているケースで、アルバイトの方の年収が20万円を超えた場合です。アルバイトが20万円以下なら確定申告をする必要はありません。
・給与の総額が2,000万円を超える人
1社からの給与しかもらっていなくても、総額が2,000万円を超えると、会社では確定申告ができません。そのため、自分で確定申告を行います。
・所得(収入-経費)が所得控除額を超える個人事業主の人
自分で仕事をしている、いわゆる個人事業主や自営業の人で、収入-経費を計算した額が所得控除額を超えた場合です。所得が48万円以下の場合、所得控除のうちの一つ基礎控除以下となりますから確定申告をしなくても良いことになりますが、収入額を証明できないため社会的に何かと不利益が生じます。独立1年目は収入が上がりにくく経費だけがかさむため所得は低くなりがちですが、所得控除を超えなくても確定申告を行うことをお勧めします。
・年金額が一定以上の人
公的年金から所得控除の額を差し引いた後、1円以上プラスになる場合です。なお、公的年金が年間400万円以下で、源泉徴収の対象なら確定申告は不要です。
・給与以外の所得が年間20万円を超える人
ウーバーイーツや株式投資のように、給与以外の収入があって、所得(収入−経費)が20万円を超えた場合です。ただし投資の場合で特定口座で源泉徴収ありにしている場合や、NISA口座で運用している商品に関しては必要ありません。
■所得控除とは?
所得税法では所得控除の制度を設けています。
これは、所得税額を計算するときに、扶養者の数、災害に遭って損失が生じた、医療費等、各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。
所得控除には14種類あります。このうちの1つ、基礎控除は、所得が2400万円以下の人は48万円の控除が受けられます。
2.2023年の確定申告はいつまでか
2023年度中の所得についての確定申告期間は、2024年2月16日〜2024年3月15日までです。
もともと確定申告ができる期間は毎年決まっており、翌年の2月16日〜3月15日までが標準です。
新型コロナウイルス感染症の影響で、2019年度分および2020年度分の申告期限が延長されました。また、e-taxの不具合で2021年度分の申告期限が延長されました。しかしこれはレアなケースなので『申告期限は3月15日まで』と覚えておきましょう。
ご相談などのお問い合わせはこちらまで
(受付時間:月曜日~金曜日 9:00~17:15)
※申し訳ありませんが、皆様の置かれている状況を正確に把握するため、お電話やメールだけでの税務経営相談はお受けしておりません。
3.個人事業主は青色申告と白色申告の2種類ある
個人事業主が行う確定申告は大きく「青色申告」と「白色申告」の2種類です。何もしなければ自動的に「白色申告」になります。このうち最も節税効果が高くお勧めなのは、「青色申告で65万円控除」を選択することです。
ここでいう控除額とは、売上から差し引くことのできる金額です。売上から控除額が引かれるので、最終的に税金が安くなります。
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3-1.青色申告
青色申告は、最大65万円の特別控除を受けられる申告方法です。
青色申告は帳簿のつけ方と申告方法によって2種類に分類され、
・少し簡単な単式簿記+紙で申告:控除額10万円
・少し難しい複式簿記+紙で申告:控除額55万円
・少し難しい複式簿記+e-Taxによる電子申告:控除額65万円
が受けられます。
なお青色申告でを行う場合は、事前に「青色申告承認申請書」を提出します。
■青色申告承認申請書とは
青色申告を開始するための申請書です。
・申請書の場所
国税庁サイトから用紙をダウンロード
税務署に出向いて用紙をもらう
・提出期限
開業日から2ヶ月以内
その年の3月15日まで
例えば2023年3月15日までに青色申告申請書を提出した場合、2023年度分から青色申告が適用されます。(2024年3月15日までに確定申告する分)
・e-Taxによる電子申告について
2020年度分の確定申告からは、マイナンバーカードとスマートフォンがあればe-Taxができるようになりました。
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3-2.白色申告
白色申告は、特別控除が受けられない申告方法です。帳簿は単式簿記で、提出する書類も青色申告の場合より若干簡単です。しかし控除が受けられない上に帳簿をつける必要もあり、あまりお勧めはできません。
ではなぜ白色申告という申告方式が存在するのかというと、2014年以前の白色申告は、帳簿をつける必要がない申告方式だったからです。
所得がそれほど高くなく、帳簿をつけることが苦手な方が選択する申告方式でした。しかし2021年現在では白色申告でも帳簿をつけることが義務付けられたため、青色申告とあまり変わらない手間がかかるようになったのです。
4.確定申告の提出までの流れについて
1売上を帳簿につける
2経費を帳簿につける
3決算書もしくは収支内訳書などを作成する
4確定申告書を作成する
5作成した書類を税務署に提出する
これが一連の流れですが、帳簿をつけるためには請求書、レシートやクレジットカード明細を全て用意する必要があります。また経費は科目に分類し、自宅で仕事をされているなら家賃や電気代を按分しなければいけません。ですから人によっては帳簿をつけるまでにかなりの時間を要します。
確定申告を行う場合は、少なく見積もっても2月上旬には準備を始めましょう。
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(受付時間:月曜日~金曜日 9:00~17:15)
※申し訳ありませんが、皆様の置かれている状況を正確に把握するため、お電話やメールだけでの税務経営相談はお受けしておりません。
5.確定申告を無視した場合に起きる悲惨なこと
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5-1.無申告加算税
申告期限までに確定申告を行わなかったときに課せられる税金です。
これは「申告をしなかった」ことに対する税金なので、「申告は忘れていたけど税金は支払った」場合でも支払うことになります。期限までに申告せず税務署から指摘された場合は、通常の税額の15%が無申告加算税として追徴課税となります。しかし税務署からの指摘の前に、自主的に申告した場合は5%に軽減されます。例えば、支払う所得税が10万円だった場合の無申告加算税額は下記のように計算できます。
意図的に確定申告をしなかった場合:10万円×15%=15,000円
後から気づいて自主的に確定申告した場合:10万円×5%=5,000円
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5-2.延滞税
期限までに税金を支払わなかったときに課せられる税金です。
無申告加算税とは反対に、「申告はしたけど税金の支払いを忘れていた」際に発生します。延滞税の計算方法は「納期限の翌日から1ヶ月を経過するまでの延滞金額」+「納期限から1ヶ月を経過した日以降の延滞金額」。
基本的には税務署が計算し、延滞税の納付書を送付してきます。なお所得税の納期限は、申告期限と同じ3月15日です。
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5-3.悪質な所得隠しは重加算税
税金を納める額を少なくするなどのために意図的に隠蔽したり、仮装したりした場合にかかる税金です。
最も重いペナルティーであり、税率は35%〜40%。
例えば意図的に売上を計上しなかったり、存在しない経費を水増し計上したりした場合に適用されます。
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5-4.突然税務調査されることがある
税務調査は期限までに申告していたとしても行われますが、概ね事前に予告されてから調査が開始されます。一方無申告者の場合は、予告すると帳簿などを隠蔽されてしまうと税務署は考えているようで、突然調査に入ることがあります。 何の前触れもなく、玄関の前で「税務署です」と立っていることがあります。
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5-5.そもそも収入を証明できない
確定申告を行わないと所得証明や納税証明が作成されません。したがって社会的には収入0とみなされ、下記のようなことがおこります。
・車や家のローンが組めない
・クレジットカードが作れない
・保育園に子どもを預けられない
・事故に遭っても休業補償を受けられない
・家や事務所、倉庫を借りることができない
6.確定申告をするまでに帳簿をつけておく
毎日は難しいでしょうが、毎月マメに帳簿をつけておきましょう。1年間帳簿をつけずに3月に入ってからようやく「さて、そろそろ確定申告でもしようか」と重い腰を上げたところで申告期限の3月15日には到底間に合いません。確定申告が初めてであればなおのことです。ご自身で行うつもりなら、月末か月初にまとめて帳簿をつける習慣づけをしておきましょう。
7.確定申告のことは税理士にお任せするのが安心
これまで経理業務に携わったことがない人からすると、確定申告はややこしくて難しいものですよね。始めたばかりの事業を早く軌道に乗せなければならない時なのに、年に一度の申告という作業に時間を取られることはもったいないことです。本業に専念するのであれば、申告は税理士にお任せするのが一番です。依頼すれば帳簿作成も税理士にお任せすることができます。しかも税金のプロですから、節税のアドバイスをしてくれることもあります。あなたの時間を事業に使って売上を最大化させ、その上節税までしてくれます。当然、税理士への報酬の支払いは発生しますが、それを上回る安心感が得られると思います。
8.まとめ
確定申告は毎年3月15日が締め切りです。この日までに申告と所得税の支払いを済ませてください。個人事業主の方には「青色申告65万円控除」の方式がお勧めです。最も節税できる申告方法で、所得額の大きい人ほど「青色申告65万円控除」を選択しています。帳簿づけに不安を感じるなら税理士へ依頼するのも一つの手段です。税理士に支払う報酬額は発生しますが、それを上回る安心感となることでしょう。
畑会計事務所では、このような確定申告に関する疑問等に対し、サポートを行っております。
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